落ち葉水槽とは
水槽を立ち上げたら、水槽内の水の1/3程度を入れ替える水換えを1週間に1度くらいのペースで行うことが一般的です。エサの食べ残しやフンなどで富栄養化した飼育水はそのまま放置するとコケが発生し、水質や見栄えが悪化する原因になります。生体の生育環境を良好に保つためには定期的な水換えは必須であるというのが常識ですが、水槽に落ち葉を入れておけば水質を維持できる、と提唱したのが落ち葉水槽です。
落ち葉水槽のメカニズムはこう分析されている
熱帯魚を飼育する水槽に広葉樹の落ち葉を入れると、落ち葉の表面に従属栄養細菌の膜ができます。従属栄養細菌とは簡単にいうと食物連鎖の分解者であり、この細菌が落ち葉自体だけでなく、水槽内の余分な栄養である硝酸塩をも吸収するため、水槽内の硝酸塩濃度が下がるというのが落ち葉水槽の仕組みと考えられています。
しかし落ち葉を水槽に入れることによって水質を維持することができても、水の色を透明に保つことは困難です。自然界のパワーバランスを水槽内で再現したいという方は落ち葉水槽の詳しい方法を調べてやってみるといいかもしれませんが、クリアな景観が損なわれることだけは頭に入れておきましょう。
拾ってくる落ち葉は薬剤にまみれている可能性も!
落ち葉水槽と同様、水槽の環境を自然の状態に近づける目的で商品化されているのが「マジックリーフ」です。マジックリーフは東南アジアや南米などに生息する木の枯れ葉で、有害な重金属イオンを無害化する「タンニン」が豊富に含まれています。また、水質が酸性に傾くためベタ水槽の水質調整にはよく用いられています。
家の近くで拾った葉っぱには、水槽内の生き物にとって有害な農薬や微生物が付着している危険があるため、むやみに水槽内に落ち葉を入れるのは得策ではありません。心配な方は市販されているマジックリーフを説明書通りに使って、生体の健康を守りましょう。
落ち葉水槽は本当に効果があるのか
水槽内に枯れた水草を放置すると水質が悪化するのに、落ち葉を入れると水質が改善されるという落ち葉水槽の不思議さは、化学に詳しいアクアリストの興味関心を引き、瞬く間に話題となりました。しかしそれから10年ほどたった今、落ち葉水槽はある意味で都市伝説化されています。落ち葉水槽を提唱した人物は、実験を重ねて特許を取得したという噂もありますが、落ち葉水槽に関してのノウハウを知るには第一人者に直接尋ねてみるしかないのかもしれません。