ゴールデン・デルモゲニー Dermogenys pusillus var
タイやマレーシアあたりに分布する本グループの最メジャー種・・というか本種以外は知らない人が大半と思われる卵胎生・淡水サヨリ。最大サイズも6cmぐらいと大きくないケースでも導入しやすく、またサヨリ特有の姿形に惹かれて購入する方も多いと思います。南米産のカラシン類に見られるのと同じ仕組みかどうかは分からないのですが体表が銀色に変化している“ゴールデン”タイプの流通が普通です。
デルモゲニー Dermogenys pusillus
少なくとも日本国内での流通が極めて稀なデルモゲニーのノーマルタイプですが、実際に採りに行った方の記事を読むかぎりは、分布域では田園地帯の水路なんかにフツーに群れて生息しているそうです。観賞価値の問題??。ビミョーな豆知識ですが食べるとちゃんとサヨリらしい味がするとかしないとか・・。
“セレベスハーフビーク” セレベス島には似たのが何種かいるらしい・・・。
かなり目立つ色彩のやや大柄なNomorhamphus属の卵胎生サヨリ。セレベス島には本属のお魚が数種類いるらしく、この名前で流通していても別種の場合もあるようです。ちょっと調べてみた感じではN.hageniはヒレがオレンジ一色、N.liemiというのが赤・青・オレンジの配色で派手、そんで画像はなかったのですがN.selebensisという名前からして真の“セレベス・ハーフビーク”と呼べるやつもいるもよう。
ヘミランフォドン Hemirhamphodon pogonognathus
タイ東部からマレーシア、シンガポール、インドネシアにかけて分布するスッキリ細身な卵胎生サヨリ。とにかく濁りのある水系は好まないらしく、濁っていなければかなり上流部にも生息しているらしいです。地味な差異ですが本属は他属よりも尻ビレの『基底』が短い・・という明確な特徴があります。
レッドライン・ヘミランフォドン Hemirhamphodon kapuasensis
インドネシア産の非常にカラフルな魅惑の卵胎生サヨリ。独特のラインを描き長く発達した下顎に、赤と水色のストライプが入る体。各ヒレにも繊細なタッチで赤がのります。最大サイズは5cmぐらい。
ヘミランフォドン テンガー Hemirhamphodon tangah
近年流通するようになったボルネオ東部産の小型種で、“ゴールドライン・へミランフォドン”と
呼ばれることもあります。体側にメタリックグリーンの破線が入り、このグループとしてはかなり
美しいお魚です。最大サイズは3cm強。
コモチサヨリ Zenarchopterus dunckeri
クルメサヨリは卵胎生じゃない。
日本では宮古・八重山諸島などで見られる卵胎生のサヨリ。生息環境は河口部の汽水域で、サイズは最大20cm程度にまで成長します。オス個体の尻ビレが特異な形状で目を惹きますが、色彩自体は普通のサヨリと同じでいたって地味。余談ですが霞ヶ浦などに生息する“淡水サヨリ”ことクルメサヨリは淡水性ですが卵胎生種ではないようですぞ。
飼育について
水面直下をワサワサさせよう!
飼育自体は一般的かつ丈夫とされる小型熱帯魚と大差はなく、状態良く入手できれば簡単な部類に入ります。このグループのお魚は水面直下を生活の場としており、場所を巡っての小競り合いは頻繁に行いますので、目隠しやシェルターの意味合いで“浮き草”を多く入れると緩和効果が期待できます。またその口の形状から想像される通り完全に着底したエサを拾うのは苦手なので、小型種用フレークやフリーズドライ製品などの小粒かつ長時間浮いているものが向いています。野外の生息環境はおおむね若干の水流がある場所で、水質は弱アルカリから弱酸性の数値を示すことが多いようです。
繁殖について
オスの尻ビレ前縁は交接器になっている。
メスの尻ビレはいたって普通の形。
さて、卵胎生種ということで説明するまでもなくグッピーとかと同じくいきなり稚魚を産むのですが、
人気度や飼育者の数のわりに「増えた!」という話をあまり聞かないのは親魚の捕食性の高さが原因かも。実際他の混泳魚がいる環境でも水面にマツモが広範囲に浮いているような水景だと、あまり気にしなくても稚魚が湧く感じなので水面直下の『隠れ家』の存在はかなり重要だと思われます。
さて今回は淡水魚らしからぬスタイルでなかなか人気のある卵胎生サヨリの仲間を紹介しました。機会があればぜひ一度飼育・繁殖にチャレンジしてみてくださいね♪
TO wrote it